建設業の労働保険料年度更新について

今回は、建設業の労働保険料年度更新(現場作業員の労災保険)について、説明していきたいと思います。

前回の投稿で、労働保険料の出し方について、年度ごとに労働者に支払う賃金に保険料率を乗じて算出すると説明しました。
前回の投稿
https://shimabukurosroffice.ti-da.net/e11959021.html

建設の事業が、支払賃金を基に、労働保険料を申告するとなると、元請負である自社の労働者の賃金のみでなく、下請負の業者の労働者の賃金まで把握する必要があります。

建設の事業では、賃金総額を正確に把握することが難しい場合、請負金額に労務費率を乗じた額を賃金総額とする方法が認められております。(事務職員等の労災保険料についてですが、支払う賃金に保険料率を乗じて算出する方法となります。申告は別の労働保険番号にて行うこととなります。)例えば、新築一軒家の工事を5,000万円で請け負った場合、賃金総額は下記の考え方で出していきます。

5,000万円(請負金額) × 23%(新築工事を行う場合の労務費率) = 1,150万円

労働保険料については、上記で算出した賃金総額に保険料率を乗じて算出していきます。
(例) 1,150万円(賃金総額) × 9.5/1,000(保険料率) = 109,250円

保険料の算定のしかた
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/hoken/2020/dl/ikkatu-07.pdf
事業の種類・労務費率・保険料率一覧表
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/hoken/2020/dl/ikkatu-18.pdf


ここから、建設業の年度更新の流れについて説明していきたいと思います。


(1)まず、一括有期事業報告書に、下記の要件を満たした工事の名称、所在地、請負金額、労務費率、賃金総額を工事の種類ごとに記入していきます。令和2年度中(令和3年3月31日まで)に終了した工事が今回の申告の対象となります。

一括有期事業の要件(要件に該当すれば、工事ごとの労働保険の成立、保険料の申告は不要となります。)
元請負工事であること。元請負がない場合は、提出は不要です。
②請負金額が1億8,000万円未満(消費税を除く)であること。
③概算保険料額が160万円未満であること。
※上記②、③の両方に該当しない場合は、工事ごとに、労働保険の成立手続、保険料の申告が必要となります。

一括有期事業報告書の書き方
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/hoken/2020/dl/ikkatu-08.pdf
事業の種類・労務費率・保険料率一覧表
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/hoken/2020/dl/ikkatu-18.pdf
労災保険率適用事業細目表
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/hoken/2020/dl/ikkatu-19.pdf


(2)次に、一括有期事業報告書に記入した内容をもとに、一括有期事業総括表を作成していきます。工事の種類ごとに合計した請負金額、賃金総額を所定の箇所に記入します。工事の開始時期によって、記入箇所、保険料率が異なるため、注意が必要です。総括表にて、賃金総額に保険料率(総括表に記載されております。)を乗じて、労働保険料、一般拠出金を算出することとなります。元請工事がない場合は、総括表に「元請工事なし」と記入していきます。

一括有期事業総括表の書き方・記入例
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/hoken/2020/dl/ikkatu-09.pdf


(3)上記(2)で記入した一括有期事業総括表をもとに、申告書を記入していきます。今年度の概算保険料についてですが、昨年度の請負金額の合計を参考に検討していくと良いのではないでしょうか。元請工事がなかった場合、元請工事が見込みより大幅に少なかった場合は、下記の例のように、余った保険料を概算保険料とする方法もあります。

(例)昨年度申告した概算保険料が¥200,000、確定保険料が¥20,000の場合、差額の¥180,000を概算保険料とする。

申告書の記入にあたって(建設の事業)
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/hoken/2020/dl/ikkatu-10.pdf
申告書の書き方
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/hoken/2020/dl/ikkatu-12.pdf


(4)一括有期事業報告書、一括有期事業総括表、申告書を管轄の労働局、労働基準監督署等に提出し、金融機関にて労働保険料を納付します。

申告書の提出、保険料・一般拠出金の納付の方法
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/hoken/2020/dl/ikkatu-02.pdf


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